October 10, 2018

GoogleのPixel戦略は正しい

pixel3

Pixel3日本発売

2018年ついに日本でもPixelシリーズが発売される事になった。めでたい。
2016年にAndroid Oneの発売はあったものの、Google純正フラグシップAndroid端末はNexus5X, Nexus6Pを最後に日本市場には投入されていなかった。
日本には通称 技適と呼ばれる「技術基準適合証明と技術基準適合認定のいずれかあるいは両者の認証」がなされていない端末は、日本国内において電波を発してはいけないとう法律があるため、Android O(8.x)までしかサポートしていないNexus5X, 6Pを最後に最新のOSを搭載したAndroidが使用出来ないという問題が2018年から発生していた。
技適に関しては、同じ端末を利用していても外国人旅行者が日本に来た場合は90日間は使ってもオッケー!というザル法律なため、本来の既存電波との混信を守るという法律の意味をなしていないので早く法改正することを願う。

日本におけるAndroid

Googleが日本市場にPixelシリーズを投入していなかったのには複数の理由があると思われる。 ここから下の部分は推測多めなので、全てが事実ではない。

圧倒的iPhone市場

日本におけるスマートフォンの覇者はiPhoneである。
これはいくつか理由があると思うが、一番大きいのはスマートフォン黎明期におけるAndroid端末のショボさである。

KDDI Android au
© KDDI, au

この画像に見覚えある人も多いであろう。
ガラケー全盛期だった頃、スマートフォンというものが世の中に普及し始め、auが当時絶大な人気があったレディーガガを大々的に起用してガラケーからスマホへの移行を促した。このCMによってスマートフォンの認知度が日本中に浸透した。
その頃のキャリア勢力は圧倒的Docomo、少し劣ってau、電波が繋がらないSoftBankとなっていた。
当時iPhoneを取り扱っていたのは電波が繋がらないと名高いSoftBankのみであったので、スマートフォンに変える大半の人はAndroidに乗り換えるのが普通だった。
ここがAndroidの運命の分かれ道だった。
日本のガラケーは世界で見てもかなり進んでいて、The技術大国日本の代名詞的な機械であった。各社手のひらサイズの小さい端末にデジカメ並のカメラやワンセグ、フルセグなどのテレビ機能、防水、おさいふケータイなどの機能を出来るだけ詰め込み、全部入りケータイがガラケーの王者として君臨していた。
そんな、全部入り大好き日本人のために満を持して開発されたのがauからの第4世代Android端末IS04, Docomoからも同時発売された東芝開発による REGZA Phone である。 圧倒的画質のカメラ、当然ワンセグ、防水、おさいふケータイ付き。海外製端末のiPhoneには無いガラケーにあった全ての機能を搭載した最高の端末なのである。
当然全部入り大好き日本人は、端末の発表と同時にこの端末に群がった。自分の周りのスマホユーザは7割ぐらいこの端末を持っていた覚えがある。
しかし、全部入りの完璧なスマートフォンは到底完璧な端末とは言えなかった。
動作が重すぎて反応しないディスプレイ、90%から一瞬で切れる電池、繰り返す再起動...
全く使えるものではなかった。強いて言うならば冬場ホッカイロとしてはかなり使えた。
日本国民が期待していたガラケーの進化版と思っていたスマートフォンが散々な結果になってしまったことで、スマートフォンがクソという評価ではなくAndroidがクソという評価になってしまった。
この端末を境に、防水やワンセグは無いけどUIに力を入れていたiPhoneがヌルヌル動いていたのと、SoftBankによるキャッシュバック戦略によって日本人のiPhoneシフトが進んでいった。 一括0円キャッシュバック戦略の影響もかなりあったとは思う。この頃から携帯端末の2年縛りが当たり前になっていった。

日本語の難しさ

Googleは数年前から膨大なビッグデータを活用してAIに力を入れている。その圧倒的データから生み出されるAIをAndroidに搭載することをずっと目標にしていたのを感じている。
Lollipop(5.x)の頃から各個人に向けたSuggest機能の強化が始まり、2016年のGoogle I/Oで発表されたGoogle Assistantの登場によって、より一層GoogleのAIが身近になった。
しかし、声でサジェストするには言語の壁を乗り越えなければならない。Google Assistantとしての機能向上もしつつ自然言語処理の機能を強化していくには、企業戦略として難しい日本語を初期の対象から外すのは正しい戦略であったと思う。

Googleの端末戦略

Googleは初期からオープンソースでOSを作って、端末は各メーカが独自にカスタマイズして好きな端末を出していいよ。という戦略を取っていた。
スマートフォン黎明期はWindows PhoneやBlack berry, Firefox phone等の多彩な端末があった時代かつ、ハード開発は行っていなかったので各メーカに端末のアイディアは委ねてソフトウェアのプラットフォームを取る戦略だったのだろう。
しかし、この戦略には限界があった。前述のように各メーカー(というか日本だとキャリア)が独自カスタマイズをしまくったせいで、AndroidのOS自体が良くないという印象が世の中に広まってしまった。
特にハードもソフトも一貫で作っているAppleのiPhoneは安売りせずに、端末のスペックに最適なOSを上手く組み合わせて独自の地位を築いてきた。
そこで、Googleは既にAndroid端末を手がけていた複数企業と手を組みGoogle純正の端末に力を入れる戦略を取っていった。それがNexusシリーズである。
当時、モバイルCPUで圧倒的シェアを持つQualcommのSnapdragonシリーズは大体春頃その年の最新CPUが発売されるサイクルとなっていた。(今は段々と春から夏頃に移行している感覚) 当然HTC, Sumsung等のフラグシップモデルを作っている企業はSnapdragonの発売時期である春頃に合わせて毎年最新端末を発売していた。 しかし当然ながら最新のCPUを搭載することで端末の値段は高くなってしまう。iPhoneよりは安いが8~9万ぐらいの価格帯で売られていた。
そこでGoogleは秋頃に同じもしくはマイナーアップデートのSnapdragonのCPUを搭載した端末を約半額ぐらいで発売した。 余計なカスタマイズがされていないAndroid端末として、当時タブレットとして発売されたNexus7や普段使いのスマートフォンとして使えるNexus5はとても気に入られたように思う。
GoogleのNexus戦略は成功に思えた。が… そう上手くはいかなかった。
市場はGoogleのAndroid vs AppleのiPhoneという比較をするのである。 そうすると何が起こるかというと、5万の廉価版Andorid端末と10万の高級端末iPhoneでスペックの比較が行われるのである。
当然値段の低いハードを使っているAndoridはiPhoneには到底太刀打ち出来ない。よってAndroidよりiOSの方が優れているという評価になってしまうのである。
これをGoogleはひどく嫌っていたように思う。 つまり、Nexusシリーズは成功ではなくて、Appleと比較されるという点では失敗したシリーズだったのではないだろうか。
そこで、GoogleはGoogleのAndroid端末としてiPhoneに真っ向勝負を挑むためHTCを買収し、独自でハードの開発を行った。これにより生まれたのがPixelシリーズである。
「Pixel高い。」「Googleに求めているのは安い純正開発端末だ。」等の意見があるが、おそらく今後Googleから廉価版端末のみが出ることは無いと思う。 つまりPixelシリーズは、GoogleがAndroidとしてのブランドを守るための端末なのである。

Appleと異なりAndroid OSは自由に利用できるので安い端末は他の企業が作れば良いと思うので、GoogleのAndroid戦略は個人的には正しく思う。自分が経営者だったら同じ戦略を取る。
私はiPhoneとAndroid端末を両方利用しているが、圧倒的にAndroidの方が使いやすい。(先入観は多少あるかもしれないが、それを含めてもAndroidの方が良い。AndoridというかGoogleが凄い。)

Pixel戦略によりAndroidが再評価され、今後のスマートフォンの勢力がどう変化していくのかが楽しみである。

© AAkira 2018